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月琴~つきのこと~

第1章 第一話【宵の月】 一

 治助は小さな溜め息をつき、小文を切なく見つめる。
「でも、俺は諦めてました。俺なんかがお嬢さまに幾ら恋したところで、所詮報われるはずもありません」
「じゃあ―」
 小文がほのかな期待を抱いて治助を見つめていると、治助は淋しげな顔のまま首を振った。

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