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月琴~つきのこと~

第1章 第一話【宵の月】 一

「私は構わない。たとえ、誰に何と言われようと、治助さんを好きだという気持ちに変わりはないわ」
 小文がありったけの想いを込めて言うと、治助の手に力が込められ、小文は強く抱きししめられた。治助の身体らかは、ほのかに若草の匂いがした。治助に抱かれていると、清々しい風に包まれているようだ。小文はうっとりと眼を閉じた。

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