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月琴~つきのこと~

第2章 第一話【宵の月】 二

 絶望した二人は最後に心中という道を選ぶ。
 小文はとことん悩んでも、いつでも絶望するということを知らない。そんな小文には死という選択肢は思案の外ではあったけれど、最早、治助と添い遂げるためには何もかもを棄てるしか道はないのかと、ふと思い至った。
 芝居小屋を出た後、嘉平太は花見にでもゆかないかと誘ったが、小文は気分が優れないからと断った。

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