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月琴~つきのこと~

第2章 第一話【宵の月】 二

 が、それにしても、今日の小文の様子は尋常ではない。話をしていても、まるで上の空、相槌は打っているものの、心では別のことを考えているのが判る。嘉平太にもまさかその原因が治助にあるとは思えず、信濃屋まで小文を送り届けた後、暗澹たる気持ちで家路を辿った。

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