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月琴~つきのこと~

第1章 第一話【宵の月】 一

 二人きりでいても、当たり障りのない話をするだけで、胸がときめくこともない。親に言われるがままに嫁いだり聟を取ったりするのが当たり前であった当時としては、特別なことではなかった。
 小文も父の腹の中は十分心得てはいるものの、しとやかにしろと幾ら口うるさく言われても、いっかな大人しくなる様子もない。

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