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(…やっぱり気付いていたんだ…)


見上げると、
私を見つめるユーリの姿があった。


「俺が気付かないとでも思ってた？」


口元を和らげ私の頬にそっと触れる。


私の心臓がドクン…と
大きな音をたてて響いた。


『……見られたく…なかったから……』


「……え？」


『キスされた跡を…
ユーリに見られたくなかったから…
隠したの……』


私はユーリから目をそらし、
そのまま俯いた。


「どうして俺に見られたくなかったの？」


俯く私に
ユーリが首を傾けて聞いてくる。


(…どうして……？)


頬が徐々に熱くなるのを感じながら、
その答えを考える。


けれど、自分の感情を表す言葉が
私には見つからなかった。


『……わからないよ』


「………」


ユーリはただ黙って
私の答えを聞いていた。



少しの静寂の後。

ユーリが私の手を取り
椅子から私を立ち上がらせる。


『…え…っ…』


そして自分の腕の中に私の身体を
そっと抱き寄せた。