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ツインズ・ラブ

第10章   告白の答え(Side司)

「そうですね。すいません、会長」
「冷静な二宮君らしくないよ」
 冷酷で冷徹な二宮信士。
 普段、どんなに会議が荒れても臆することなく、的確にパソコンで記録を続けている二宮。その姿からは、今の取り乱し方は、ありえない。
「俺も頭ではきちんと計算しているんですが・・・。感情が上手くコントロールできなくて。こんなに人を好きになるのははじめてなんで、歯止めがきかないんです」
 我を忘れるくらい、好き?
「そのくらい、惚れているんです」
 照れたように顔をかく仕草にどきっとした。
 僕はそんな恋をしたことがない。神田君はあのとき、どういう気持ちで僕に告白したんだろう。
 僕は、神田君の本気に今、気がついたのかも知れない。
 あのときの真剣な神田君の顔を思い出したら、顔がまっかになった。
「でも、理屈じゃないんですよね。会長はそんな恋したことないですか?聞いてますか?会長?」
 会長・・と呼ぶ二宮の声は、僕には届かなかった。
 

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