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　俺のものに触るな！
　そう言いたくなるが、それを言ってしまうと度量の狭さを露見させ、俺の株を落とすことになりそうだ。じっと我慢・・・。
　ただあまりにもじっと見過ぎていたのだろう。司が不思議そうに俺を見て、
「どうしたの？葉月、体調でも悪いの？」
と聞いてきた。
　体調は悪くない。ただ、機嫌が悪いだけだ。
　でも、それも口にはできない。
「特に何もないよ、司」
　顔だけ笑う。
「そう？無理しないでね。葉月はいつも倒れる寸前まで頑張るでしょ。きついなら、きついっていってね。僕もきついには、ちゃんと葉月にそう言うから」
　顔を曇らせる司。
　自分のことを最愛の人が心配してくれている。不謹慎かもしれないけど、嬉しい。
「わかった」
　あっという間に機嫌が直ってしまう。
　俺にとって昔から魔法使いのような存在だ。あいつの一言で、いつも救われてきた。
　誰にも渡さない。
　誰にも譲らない。