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「会長を助けようとした田中先生が悪者になるのは、避けたいからね」
　きっとこの１年生が見たことが真実だろう。
　何かが２人にあって、司が体育館ステージから突き飛ばされた。
　でも、それを司がかばっているということは、何か後ろめたいことがある・・・？
　どちらにせよ、ここできちんと口止めしておく必要がある。
　変な噂が立つことは、司の本意ではない。
「そうですね、僕の見間違いですよね」
　彼は、自分を納得させるように、２度繰り返した。
　にこりと微笑み、１年生に、
「その通りだ」
　とつぶやき、言った。
「話してくれてありがとう。君以外にも同じような誤解をしている人がいるかも知れない。その誤解をとく必要があるからね」
　どう言って話をすれば良いか。
　人の心理は複雑だ。