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ツインズ・ラブ

第18章 想いの人(Side神田)

 人は信じたくない真実よりも、信じやすい事実の方を信じる。
「誰かに司の様子を聞かれたら、見たままを話してくれないか」
「はい」
「司が目眩を起こして倒れたこと。それを田中先生が助けようとしたけど、間に合わなかったことをね」
「わかりました」
 ほっとしたように1年生は頷いた。この真実の方が彼は、いや、誰もが受け入れやすい。
 目の前のことを片付けながら、俺は頭をフル回転させながら、考えていた。
 早く、田中先生に会わなければならない。
 葉月がこのことに気付く前に。
「宜しくね」
 俺は満面の笑顔を彼に向けながら、考えていた。
 今、何をすべきかを。

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