テキストサイズ

ツインズ・ラブ

第18章 想いの人(Side神田)

 視線があう。涙目の田中先生がとてもつらく、苦しそうに見える。
「言って欲しいんです。田中先生、苦しそうだから」
「・・・・・・・・・」
 2人とも無言になる。
 田中先生は、迷っているようだった。震えている身体が心配でならない。
 多分、田中先生は司を突き落としてはいない。
(真面目な田中先生のことだから、そんなことをしたら、絶対に司の側を離れないはずだ。)
 でも・・・、だったらなぜこんなに傷ついているんだ?
 俺たちは、しばらく、そのままの格好で座っていた。何分くらい時間が経っただろう。
 少しずつ、田中先生の呼吸が落ち着いてきて、身体の震えも止まってきた。
「・・・・・もう、嫌なんだ」
 また涙目になっている。
 これ以上、泣かせたくない。
 そういう想いがあふれてくる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ