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　名刺を受け取りながら、僕は
「こちらこそ、宜しく御願いします」
　と言った。
　理事長と言ってもまだ若い。多分４０代だろう。
　なにか、スポーツをしているのだろか、はきはきとした印象だ。
「本日は、無理を言って申し訳ありませんでした」
　自己紹介もそこそこに深々と頭を下げられた。
「予定されていた出演者が病気のため、急遽出演ができなくなったとはいえ、本来ならば、昨日の今日で依頼するような内容ではないと思います。本校は生徒の自主性を重んじているため、文化祭の運営はある程度生徒達に任せておりましたので、生徒達が私に相談もなく、自主的に行動してしまっておりました。礼を欠いた依頼をしてしまったこと、深く、お詫びいたします」
　再び、深々と頭を下げられる。
　確かに今回のオファーは、あり得ない時期に依頼された。本来なら、そんな非常識な依頼は受けられないと一笑するところだ。