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　ただ今回は元々葉月に会うために新幹線のチケットをとっていたことを兄さん（社長）が知っていたから、引き受けてくれたのだ。
　僕がどれだけ、傷ついているのか、兄さんは知っていたから。
「これ以上、頭を下げないでください」
　でも、こんなきちんとした大人に頭を下げられるのは、申し訳ない。自分の都合で引き受けただけのことだから。
「私はただ、そこにいる篠宮君へ貸しを作りたかっただけですから」
　申し訳なくて、つい本心を言ってしまった。
「篠宮君とは、お知り合いですか？」
「はい」
　にこりと微笑むと、理事長が笑顔で答えてくれた。
「それはちょうど良かった。今回、あなたのエスコートをこの篠宮君に担当してもらうことになっていたんです。使いっ走りでも何でも良いので、思う存分、使ってください」
　葉月が僕の担当？
　葉月も僕に会いたいと思ってくれていたとか？