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ツインズ・ラブ

第5章  不可侵条約(Side葉月)

 無自覚に愛想を振り向くな。
 この兄は、全く自覚がない。
 俺が幾度となく、害虫を排除していなければ、何度襲われていたか、わからない。
 それなのに、人の心配も全く無視して、自ら危険な檻に入るようなところがある。
「じゃあ、他のメンバーで手が空いている人は、隣でコピーを手伝ってくれないか」
 俺の言葉に数名の役員が席を立ち、そばに寄ってくる。

 これ以上、間近で見たくない。
 いらいらする。
 俺の物だと。生まれる前から、それは決まっていたのだと。
 言いたくなるが・・・・。
 昔、誰これかまわず、「司は僕のだ」と言い続けた俺に、司は笑っていったものだ。
「葉月は甘えんぼさんだね。いつになったら、ブラコンを卒業できるのかな?」
 ブラコン。俺の感情はそんなかわいらしいものじゃない。

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