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ツインズ・ラブ

第31章 番外編② 司&葉月

「ここじゃ、嫌」
 ドアの目の前だ。
 鍵をかけてあるといっても、声が漏れるかも知れない。
 たどたどしい、力が入らない腕で葉月を掴みながら、訴える。
 誰かに聞かれたくない。
 ここは嫌。
 移動したい。
 涙目で首を振ると、葉月の手が止まった。そして、僕の腰に手を当てると、
「つかまって」
 そういって、そのまま僕を抱えた。
 慌てて、僕は葉月の首へ手を回す。力が入らない手で、何とか落ちないように踏ん張った。
 葉月は器用に僕の靴を脱がせると、床の上に置いた。自分も靴を脱いで、部屋の奥へ歩き出す。
「ベッドに行くから」
 そう言われて、頷く。
 葉月は落ちたコートをそのままにして、僕を寝室へ運んだ。


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