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ねぇ、麻弘…

第1章 思い出

麻弘は泣きながらわめいた。

「ねぇちゃんなんか嫌いだ! ねぇちゃんなんか嫌いだ!」

「ごめんね? 波がまさか来るなんて思わなかったんだ」

「ねぇちゃんなんか…うぇぇぃぃ…、びぇぇぇ…ん、海なんか嫌いだああああ!」

麻弘は最終的に、海すら見たくないとごねた。

「麻弘、怖かったよね…。でも、姉ちゃんは悪くないのはわかる? 涙は姉ちゃんにも、いつ来るかなんてわからないの」

母親は、麻弘をなだめる。

その間も、ずっと、ねぇちゃん嫌い、海嫌いと繰り返しわめいていた。

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