5つの恋のカタチ
第4章 この愛さえも、DNAで決まるのか。
リ「…、」
沈黙が部屋を包む。
『…///』
まっすぐな彼の瞳があたしの顔を高揚させる。
ただ、見られてるだけ。
だけだけど、
照れるには十分。
それからいくら時間が経ったのか。
リ「…ぅっ!!」
彼が頭を抱えて筆を落とす。
『!リュウ?!』
彼の肩を抱いて体を支える。
リ「…ハッ!…、入れ替わりの…、時だ…、」
苦しそうに顔を歪めてリュウは言った。
…もう…?
あたしたちは決めている。
お互いが会うのは、
彼が『リュウ』の時だけ。
リ「…」
しばらくして彼は眠るようにして気を失った。
『…リュウ』
キャンパスには途中まで描かれたあたしの絵。
『またね…』
静かに立ち上がり、部屋を後にする。
あたしはリュウしかしらない。
もう一人のリュウをあたしは知らない。
以前にリュウは言ってた。
―「もう一人の僕は、君のことを愛していないから、会わない方がいい」
彼なのに、彼はあたしを愛していない。
少し悲しい気がするけど、
あたしも愛しているのはリュウだから。
明日はあの絵、完成するのかな…?
楽しみだ…。