5つの恋のカタチ
第5章 恋人より、家族より、仲間じゃないか?
駿「だぁー!もう、しつけぇなぁ!」
紫「駿くーん!」
嫌がる彼をあたしはしつこく追いかける。
「ははは(笑)相変わらず(笑)」
駿くんの職場の人が笑いながらその光景を見つめる。
あたし、紫津帆(シヅホ)。
絶賛片想い中!
きっかけはこの『ラッキー探偵事務所』に依頼を出したことから。
依頼内容は『証拠を掴むこと』。
当時、付き合ってた彼氏に浮気された。
ほんとは最初からあたしのことなんて好きじゃなかったみたい。
だけど馬鹿正直なあたしはまんまと騙されたってわけ。
そりゃー、浮気もするわな。
だけどその事務所にいた、
時多 駿太郎くんに恋に落ちた。
駿「うっぜぇな!離れろ!」
まぁ、超ー!嫌われてるけどねぇー…。
だってさ?好きって思えば好きって伝えなきゃ。
損するよ…。
紫「ほーんと、駿くんは女見る目無いんだから」
駿「はぁ?悪いが俺は女を見る目だけはあるんだよ!」
「だけって自分で言っちゃった(笑)」
駿くんは呟いた職場の人を軽く睨んであたしを見る。
駿「取りあえずお前は早く帰れ!」
駿くんはあたしの首根っこを掴んで揺さぶる。
紫「やぁー!まだ駿くんと離れたくなぁーい!」
駿「うるっせぇ!!」
あれから駿くんに無理矢理追い出されてあたしは渋々家へ向かう。
紫「…あー、もうこれ以上の進展なんてあるのかなぁ…」
ぶつぶつと呟いてると、
「紫津帆」
後ろから声をかけられた。
紫「…え」
振り返るとそこには、
「…久しぶり」
あたしの元カレ。
浮気性の最低最悪の極悪人!
紫「…さいっあく、あんたの顔なんて死んでも見たくないんだけど」
「…ま、まぁまぁ…。俺さ、気づいたんだ。紫津帆が離れてから」
うわ、来た。
命乞いならぬ、
ヨリ乞い。
紫「何が?何に?自分の汚さ?最低さ?最悪さ?!」
思い出しただけで吐き気がする。
こいつと付き合ってたなんて。