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5つの恋のカタチ

第5章 恋人より、家族より、仲間じゃないか?





「違う!俺はただ…」

紫「うるさい!言い訳なんて聞きたくない。それにあたし…、好きな人が出来たから」


「…はっ…、なんだよそれ…。なんだ、じゃあ『お互いさま』だったって訳だ」


紫「はぁ?!違うでしょ?!ふざけるのもいい加減に……!」

―バチン!!






紫「……………………」

頬が熱い。

…何?あたしこいつに殴られたの?


「……!ごちゃごちゃうるせぇんだよ……!こっちが…、謝ってやってんのに…!」

は…?

こいつ、
なに言っちゃってんの?


頭おかしいのか。

そうか。



紫「……………………悪びれるとかそんなんないんだ。悪いけどあんたの『それ』が原因だわ」

自己中心的なその性格。


もうこいつやばいな。


紫「…、ほんと、別れて正解」

「な……!お前!」

また殴られそうになったその時、

ふと思い出した。



あたしだって同じだ…。

駿くんにいつまでもかまって。


駿くんはこんな気持ちだったんだ…。


あたし、ほんととことん馬鹿だ…。



ーパシっ


殴られると思って歯を食いしばったけど、いつまで経ってもどこにも
痛みは走らない。


紫「…?」

ゆっくり目を開ける。


紫「……!駿くん…」


そこにはあいつの振り上げた腕を掴む駿くん。



「なっ、なんだお前!!」


駿「女に手ぇ出すとか、子供かよ」

「……!な……!」


駿「…帰れ…、今すぐ帰れ!」


ファミレス中に響くぐらいの声で駿くんは叫んだ。


「……っ!」

悔しそうに顔を歪めてあいつは出ていった。



紫「……………駿くん?」


立ちっぱなしの駿くんに話しかける。

駿「…間に合わなくてごめん…」


紫「え…?」


どうして駿くんが謝るの?


駿「痛かった…よな」

殴られた頬をそっと駿くんが撫でた。


紫「…しゅっ駿くん…?」


駿「…ごめん」

…、



紫「駿くんごめんね、あたしやっとわかったよ…。あたし駿くんにはもう会わないから…」


これ以上駿くんに嫌な思いさせたくない…。




駿「……………………駄目」


紫「え…?」

思いがけない駿くんの言葉。











駿「…俺、お前が好きだよ」







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