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5つの恋のカタチ

第3章 死なせない。ただ一人として。






卓「学校はどう?楽しい?」

車を運転しながら医師があたしに聞く。

葉「病院に来る方が楽しい」

医師に会えるもん。

なんなら、

葉「もっかい骨折しよっかなぁ…」

卓「こら、そんなこと言うもんじゃないよー?」

医師は優しい。

だからあたしの気持ちに気づいててもOKもしなければフリもしない。

それが逆に悲しくなる。


葉「…せんせぇ…、」

卓「んー?」



葉「あたしのこと嫌い?」

卓「突然どうしたの?(笑)好きだよ?」

優しい医師。

優しいから、


残酷。



葉「なら…、付き合ってよ…」


卓「…まったく、すぐふざけるんだから」
医師は笑う。

優しいあの笑顔で。


笑う。



葉「ふざけてなんか…、ないよ」

あたしの気持ちはふざけてる?

それとも迷惑だから?

あたしが子供だから?



葉「…嫌いなら…、好きじゃないならちゃんとフってよ……!」


なんでこんな突然涙が出るんだろう…。


あたしだって、

いつもはふざけてても
医師の気持ちはいつだって真剣だった。


入院当時からずっと。

好きなのに…。





卓「…………ごめん…」






あぁ、やっぱり

あたしみたいな子供には興味ないよね…。

医師は…、別にあたしなんか好きじゃない。

優しいから…。

残酷なほど優しいから今まで嫌と言わずにあたしに付き合ってくれてた。

それだけ。


葉「…………そう…。じゃあ…………」

『もう来ないから』

その一言が言えない。

言いたくない。





卓「…………、葉月ちゃんなんか勘違いしてない?」

葉「…………え?」


医師は車を道の脇に止めてあたしに向き直った。


真剣な目。




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