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ふわふわ堕天使のスルメイカ

第18章 触れた想い 2

病院に着いて子犬の診察中。


「…………。」

「…………。」


彼女は俺を見ないから、当然話掛けても来ない。


この沈黙が俺的には結構ツボった瞬間。


女と居て沈黙なんて先ず有り得ない現象だったから。


煩く顔を褒めまくられたり

俺の“技術”じゃなく、俺の会社の規模を褒められたり。


とにかく、これまた薄っぺらい言葉をとにかく並べ立てるのに


沈黙を破るように彼女からやっと出た言葉は


やっと初めて俺を見た彼女の顔は




「ワンちゃん…大丈夫ですよねぇ…?」



子犬を心配する言葉と

良く見る女の頬を紅潮させてる表情なんかじゃ全くなく


眉を下げて、心底子犬を心配してる表情だった。


彼女は俺に視線を合わせるけど、


彼女の頭の中には“俺”という存在が全く居なかった。






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