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ふわふわ堕天使のスルメイカ

第22章 心愛の“心”

上がり時刻はいつもと同じ17時。

いつもと同じ8時間労働で変わらない。


―――はずなのに。



1日中、チキンだのポテトだのフランクフルトだの……

ひたすら揚げ物の前で揚げてた私。

相当、油臭い女になってるハズ。

クンクンと袖を匂ってみると、案の定。


「臭っ!!」


油の何とも言えない匂いがやっぱり沁み付いてた。


明日、バイト終わってから逢う約束しようと思ってたけど店長が休みにしてくれた事を本気で感謝した瞬間。


油臭いまんま、聖なるクリスマスに逢いたくないもんね…。



なんだこいつ、マジ臭いんだけど…。


なんて嫌悪感持たれたら、堪んないもんね。

それだけは阻止出来て良かったぁ。


と、思わずフライヤー室でホッと安堵の息。


店内をそっと扉の隙間から覗いてみると、時刻は既に16時を回ってるせいか。

ケーキやオードブルを受け取りに来る人。

それ以外にお菓子や飲み物を買う団体のお客さん。

店長が今、最も嫌う恋人達。


そんな人達で、いつものこの時間に来店する倍のお客さんで賑わってた。


……このまま揚げ物してるフリしてサボってようかな…。


なんて浅はかな考えは



「コォラッ!!サボってんな!!」



いとも簡単に店長に見破られ



「さっさとレジしろ!ボケ!カス!」


ドスのきいた声で怒られて。



「徳田!バックヤードへ走れ!」

「徳田!レジ!」

「徳田!バカ!!」



終業時間までコキ使われまくったのは

言うまでもない。




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