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ふわふわ堕天使のスルメイカ

第7章 成り立たない【倖】

「悔しいけど」







「今だけ」


「…え?」


「今だけならあの男のために泣くあんたに胸、貸してやっから。


思うだけ泣きな?」



そう言うと私に後頭部を自分の胸に強く押しあてて



「我慢、しなくていいから」



今度は優しい声色でそっと囁くように


私の頭を優しく撫でながら言ってくれて。



……悔しいけど…



その優しさが胸に沁みて




「…‥‥っ、」




泪が込み上げてくるのと同時に、今まで溜めて来てた物も込み上げて来て


私は彼の服をギュッと握り締めながら声を押し殺して泣いた。



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