夢見るシンデレラ。
第2章 *魔法の馬車...
「社長って、大学生だったんですね!」
「あぁ。社長っつーのは肩書きだけだ。」
「ご両親は?まだ現役なんでしょ?」
「父親は俺が小さい時に事故で死んだ。母親が会長で1年中海外にいるから帰ってこない。」
「じゃあ、あのお城に社長1人だけ?」
「昔は姉ちゃんもいた。
けど、仕事で母親と出て行った。」
「そう・・・・」
車の窓から外を眺める湊の目は寂しそうで、いつもの強い態度とは正反対だった。
「寂しかったでしょ?」
「寂しい?この俺様が?」
「うん。」
「んなわけねーだろ。
わかったような口利くな。」
寂しいから、気を惹きたいから、こんな変な性格になっちゃったんだろうな。可哀想に。
「お前は?」
「ーー?」
「親父さんとかお袋さんは?」
「父親は2ヶ月前に事故で亡くなったの。
母親は専業主婦だし、弟はまだ中学生で・・・」
「・・そっか。」
「でも楽しい思い出ばかり。
うちは決して裕福な家庭ではなかったけど、パパもママはいつも明るくて笑ってた。」
「なんだよそれ。
貧乏人の負け惜しみか?」
「違う!そんなんじゃない!
あんたみたいにお金が友達みたいな人にはこの辛さわかるわけない。」
「あーわかりたくもないね。
自分ばっかり被害者ぶって、だから貧乏人は嫌いだ。」
『湊様、到着いたしました。』
運転手の一言で、開いた車のドア
『美月様、どうぞ。』
「あ、ありがと・・」
湊が先に降りると、次に私のドアも開けられた。