夢見るシンデレラ。
第3章 *魔法使い...
「本日のデザートでございます。」
最後の一品、これを出せば終わる。
この場から消えられるー・・・
『デザートも出てきたことですし、具体的に式の日取りを決めましょうか。』
『百華も湊坊ちゃんも大学を卒業してからの方が良いかと・・・
まぁ、二人が早めにと言うのであれば学生結婚も悪くないと思いますわ。』
『ねぇ、パパ、ママ。
私まだ結婚とか考えられないよ。
美術の勉強でフランスにも行きたいし。』
『あら、百華様。
フランスでしたら結婚後でも良いのでは? 湊も経営者としての勉強でついて行かせるといいわ。』
『本当に?湊、フランス語話せるの?』
「話せるわけねーだろ。
行くか。そんなとこ。
だいたいなんで結婚なんだよ。
俺は自分の結婚相手くらい自分で探す。」
『湊、』
「それに今だって俺は好きな女がいる。
はっきり言っとくが、そいつ以外興味ねぇからな。」
デザートを順番に出し、最後会長の前に出そうとした時・・・
思わず手が止まり、顔を上げると湊と目が合った。
『湊、いい加減になさい。
みっともないわ。』
『ねぇ、湊!
その女の子、誰なの?』
『百華様、ごめんなさいね。
こんなのまともに相手にしないで。
湊ってば照れてるの。』
『知りたい。
婚約者は私よ。
そんな女がいる人とは婚約できない。』
目を合わせたまま逸らせないー・・・
この場から立ち去らなきゃ
早く、早くいなくならなきゃ・・・・
それなのに足が床に張り付いて動かない。