夢見るシンデレラ。
第2章 *魔法の馬車...
『粋がいいね、彼女。』
「生意気なんだよ。貧乏人のくせに。」
『でも楽しそうだよ、今日の湊。』
「は?あいつのお陰だとでも言うのかよ!」
『ほら、図星だとすぐムキになる。』
俺をからかって笑う徹は、いつも明るくて楽しそう。
幼稚舎から一緒の俺らは、他の友達を知らない。
『でも湊にはいい薬かもよ。』
「・・どういう意味だよ。」
『姉ちゃんの代わりに多少はキツく言ってくれる人がいないと。』
「アホか。
あんな鬼は一人で十分だよ・・・」
『・・・それもそうだよな。』
結婚してアメリカに住む姉は、俺がこの世で一番恐い奴ー・・・
昔から姉貴にだけは頭が上がらなかった。
『ねぇ、』
「ーー?」
『あの子、遅くない?』
「頭悪いからどうせ迷ってんだろ。」
『大丈夫なの?
俺、見てこようか?』
立ち上がった徹の腕を咄嗟に引く。
「いや、いい。
俺が行く。俺の召使いだから。」
『召使いって・・・』
「ったく、面倒かけやがって・・・」
ダルそうに立ち上がる湊を微笑んで見つめる徹。
「なんだよ。」
『いや、別に。
いってらっしゃい。』
この爽やかな王子フェイスが時々ムカつく時もあるけど、俺は徹が親友で本当に良かったと思う。