テキストサイズ

夢見るシンデレラ。

第3章 *魔法使い...





『・・・なにか?』



「私、もう負けません。」



『そこを退きなさい。
自分の立場をわきまえるのね。』



「湊さんが何故、4年の月日を必要としてるか聞かないんですか?
好きな女性なら今すぐに結婚したいと思うのが普通ではないですか?」



『・・・・』














美月の言葉に、ゆっくり湊を見た会長






目を合わせて湊はゆっくり口を開いた。
















「俺、留学するよ。」



『・・留学・・・?』



「親父の夢、叶えてやるんだ。」













昔、家政婦のマツから聞いたんだ。







親父が会社をデカくする理由は、金持ちになって権力を持ちたいんじゃない。








貧しい人々が安心して働ける環境を作るためだって。
















「俺一人の力じゃ会社なんて作れない。けど、人脈も一から作り上げてみたいんだ。
お袋の力も借りず、西園寺家の名前に頼らず。」



『・・湊、本気なの・・・?』



「それでダメならお袋の好きにしろよ。
この会社に文句言わず従っていく。もちろん、美月との結婚だって諦める。」



「私、今の湊さんとは結婚する気ありません。4年後、本当に素敵な男性になってたらその時また考えます。」















美月の言葉に不服そうに小さく溜息をついた会長














「息子なら、俺のこと信じてくれるよな?」












数秒間の沈黙ー・・・

















『・・好きになさい。』














最後の最後まで笑うことはなかったが、今の一瞬だけ会長の表情が母親に見えた。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ