
夢見るシンデレラ。
第2章 *魔法の馬車...
『美月さん、』
「・・・・」
『あの方が奥様です。』
「・・奥様?」
『はい。
西園寺 菜々子様、西園寺グループの会長です。』
「・・・てことは、あいつの母親?」
『美月さん、言葉を慎みなさい!』
あれが、社長の母親・・・?
あんな冷たい目をして、愛情一つ感じない言葉に態度ー・・・
『奥様は多忙で一年に一度しか帰ってこないんです。』
「なんで?母親なのに?」
『奥様が坊ちゃんの側にいたのは生まれて4ヶ月までです。それからは私が面倒を見てきました。』
だから、あいつ・・・
あんなに性格ひねくれてるんだ。
『ふざけんじゃねぇ!
行くわけねぇだろ!離せ!殴るぞ!』
上から響いてきたのは間違いなく湊の声
『いい加減になさい!』
母親の声に家中がシーンと静まり返った。
『湊、あなたには今日、婚約者と会っていただきます。』
『婚約者?』
『すぐに着替えなさい。
西田、車の用意を。』
ヒールの足音と同時に、階段の少し下にいる美月を見下すあの目つきー・・・
汚いものを見るような、ゴミ扱いをする威圧感が痺れるほど感じ取れた。
