
夢見るシンデレラ。
第2章 *魔法の馬車...
「やるよ、それ。」
「えっ!いいよ!!
高そうだし、これ。」
「どうせもらいもんだから。」
「もらい物なら大切にしなきゃ!」
元の位置に写真立てを戻すと、また乾拭きを再開する。
「でもさ、せっかくの写真立てなのに中身入れないの?」
「・・・入れる写真ないから。」
「徹くんと撮った写真とか、それこそ昔の家族写真は・・っ!」
言葉を発してからマズイと思った。
社長の前では家族の話は禁句だった。
「・・あっ、今度私が何か綺麗な風景の写真でも持って来ますね!」
気まずい空気を壊そうと必死の気遣いだったー・・・
社長の顔を見れずに、同じところを何度も乾拭きしてしまう。
「・・ありがと。」
頭をポンポンとされて、社長は部屋を出ていった。
