夢見るシンデレラ。
第3章 *魔法使い...
「あの、あの方は・・・」
「元カノ」
「・・・やっぱりそういう感じで・・・」
「今は兄貴の嫁だけどね。」
「・・え・・・?」
コーヒーを飲みながら普通に話すから何も言えなかった。
冗談を言ってる割には落ち着いてるし、だいたいそんな嘘ついたりしないだろうし・・・
「兄貴のことがずっと好きで、俺を利用したんだ。」
「えっ・・それ、」
表情一つ変えずに、あまりに落ち着いてるから恐くて仕方が無い。
なんで?
どうしてそんなに冷静なの?
「蓮さん、怒ってないんですか?」
「怒る?
・・・全然。」
「どうして・・・」
動揺してる美月に向けた蓮の瞳は優しくて温かいー・・・
「昔は兄貴もあの人も恨んでたよ。俺自身、ショックじゃないと言えば嘘になるけど。」
「・・・・・ 」
「でも、あの人がそれで幸せになれるならそれでいいと思ったんだ。
俺にはまだあの人を幸せにする自信もなければ、覚悟なんて決められなかったから。」
蓮さんの目は少しだけ寂しそうで・・・
でも、別れの覚悟を決めた時と同じ強い決心の目にも見えた。