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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第4章 第一話【空の記憶】~真実~ 

「私を亮平さんのお嫁さんにして下さい」
 華族の娘として生まれ育った十六年間の中で、恐らく、初めて幸が口にした真実の気持ちであったろう。
 言い終えた後、幸の白い頬がうっすらとバラ色に染まる。男性にこのような思い切った言葉を言うとは、我ながら何とも大胆なことをしたものかと今更ながらに恥ずかしくなったのだ。多分、母の節が聞けば、〝はしたない〟と露骨に眉をひそめるに違いない。
 だが、今、ここで言わなければ、きっとずっと後悔することになる。

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