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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第5章 第二話 【めざめ】 旅立ち

「幸さん、探したよ」
 進一郎は沈んだ声で言った。
「どうして、ここが―?」
 幸が愕きに眼を見開いて進一郎を見た。進一郎が哀しげな眼で幸を見返す。
「封筒の消印を手がかりに八方手を尽くしたんだ。たまたまこの近くまで君を探しに来た時、村外れの若い漁師の許に、美しい娘が突然現れて共に暮らすようになったと聞いた。娘の人相を訊けば、幸さんに似ているというし、こんな村には不似合いなほど美人でどこなく品のある娘だという。もしかしてと思って、ここに来てみたんだ」

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