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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第2章 第一話【空の記憶】~運命の嵐~

 たとえ結婚前の許婚者同士とはいえ、若い男女が二人きりで同じ部屋にいるなぞ言語道断とされた時代であった。だが、幸の出立を明日に控え、両親は気を利かせてくれたらしく、幸と進一郎だけの時間を持つことができたのだ。
―何故だろう、僕は君を行かせたくない。
 進一郎はいつもの物静かな口調で言った。―進一郎さま、幸はまた春には戻って参りますのに。

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