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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第6章 第二話 【めざめ】 再会

 それでも、浩三なりに懸命に考えてきた台詞だったのだろう。彼は手許のカップの中を銀のスプーンでやたらとカチャカチャと音を立てて混ぜていた。浩三の飲む珈琲はいつも砂糖もミルクもなしのブラックだというのに、その行為が無意味だということも気づかないくらいに、緊張していたのだ。

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