テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第2章 第一話【空の記憶】~運命の嵐~

 弥生とはしゃいで歓声を上げながら宝石のようなボンボンをつまみ、そっと薄くてきれいなセロファンの包みを開ける瞬間のことを考え、幸は思わず心躍る想像をひととき楽しんだのであったが―。それにしても、何とも陰鬱な空の色であった。
 数日前、都市の港から町の港までの短い船旅をしたときも、昨日、出港したときさえ、空は蒼く、海も穏やかで波一つなかったというのに。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ