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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第2章 第一話【空の記憶】~運命の嵐~

 まるで空はのしかかってきそうなほど低く、薄墨色の雲が空を一面覆い尽くしている。あたかも嵐の前のような空模様だ。昨日の朝、町の小さな港を出て一刻ばかりの間、幸は甲板にいた。狭い船室の中に閉じこもってしまうのが勿体ないとさえ思えるほどの快晴であり、空は透明なほどに冴え渡り、海は静かに凪いでいた。

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