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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 そんな夏のある日の午後。
 幸が放課後、教室に残って子どもたちの答案を見ていたときであった。何しろ八人いる児童の年齢はまちまちで、その彼等が同じ教室で一斉に授業を受けるのだから、教える側も大変である。高学年の子は算術をしていても、低学年の子は書き方をしているといった案配で、個々によってその進み方も違えば、教え方も違う。それでも、村の子たちは皆熱心に幸の授業を受けた。

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