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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 いずれの家も貧しく、たとえ小学校を出ても男の子は家業を継いで漁師になるか、女の子は村を出て都市の紡績工場へ働きに出たり、運が悪ければ色宿で身をひさぐといった苦界に堕ちることもある。村全体が貧しい小さな漁村であったれば致し方ないことではあったが、生徒の中には飲み込み良く学業優秀な者もおり、幸は何とかしてそんな子を上の学校に進ませてやりたいと考えていた。

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