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「頑張って、立派なお医者さまになってね」
―あなたの父さまは、怖ろしい病魔に連れ去られてしまった。そんな病気で苦しむ人々を救えるような立派な医者になってね。
　幸はそっと心の中で我が子に語りかけた。
亮平は幸太郎の存在を知ってはいたけれど、その顔すら見たことはない。父子の名乗りもせずに逝ってしまった。せめて幸太郎が一人前の医者となり、亮平のような病で苦しむ人々の生命を一人でも多く救えるようになれば、あの世の亮平も少しは浮かばれるのではないかと思った。