テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 その瞬間、幸は凍り付いた。
「どういうことですか」
 ともすれば震えようとする声で訊ねると、浩三は哀しげな眼で幸を見た。
「少し前、家庭教師の女性が幸太郎を君の許に連れていったそうだね」
「はい、確かに佐伯美登利さんという方が幸太郎を連れてお見えになられました」
 幸が頷くと、浩三が眉をキュッと寄せた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ