テキストサイズ

空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 浩三は苦しげな表情で続けた。
「すぐにこの病院に運び込まれたんだが、まだ意識が戻らない。医師は非情に重篤な状態だと言っている。今の中に呼び寄せたい親類縁者がいるなら、呼びなさいと言われた」
「―そんな」
 幸はくらりと眩暈を憶えた。ふらつく身体を浩三が側から支えてくれなければ、その場に倒れていたに違いない。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ