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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第3章 第一話【空の記憶】~邂逅~

「澪、俺にはお前がいないと駄目なんだ! もう、どこにも行かないでくれ!」
 叫んだかと思うと、亮平が突如として、澪に襲いかかった。布団に押し倒され、のしかかってくる亮平を懸命に押しのけようとするけれど、華奢な澪の抵抗など逞しい海の男である彼にとっては、児戯にも等しい。
 ふいに、熱い唇が押しつけられた。亮平が唇をすっぽりと覆い、舌を引き出そうとしてくる感覚は、澪にはこの上なくおぞましいものであった。なめらかな舌が口中を蠢(うごめ)くのもたまらない嫌悪感を感じさせる。

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