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甘く、弾けて。僕はもう我慢できないから。

第7章 神聖な【Xmas】

 折角のクリスマスイブなのに……。
(ごめん、裕翔。)
 心の中で謝る。きっと、今電話しても出てくれないだろう。
 仕方なく、僕は明日をくるのを待った。


――んだけど!?
 なんで、きてくれないの? もう、10時だよ!
 まぁ、1時間くらい、遅れることはあるけど……裕翔がくるのを期待していただけに、僕はすっごくもどかしかった。
 とにかく、裕翔を待つ。
 他のことをして気をまぎらわそうとするけど、結局、僕の目は、時計か玄関に行ってしまう。

 いつの間にか、僕は裕翔にゾッコンだったらしい。自分でも気づかない間に。

「ゆーとぉ……」
 
 もう一度、大きくため息をついた。
 ――その時だった。

「ピピピッ」

 僕の携帯がなったのは。

 着信をみてみると、「裕翔」と表示されていた。
 僕は、慌てて電話に出た。

「よぉ、神谷。遅れてすまない、すぐに行くからな」

 電話に出ると、僕が「もしもし」っていうよりもはやく、裕翔がそう言った。
 息が荒い。走っているのだろうか。

「あ、うん! それから、昨日。ごめんね、今日ってクリスマスイブだったんだね」

 僕は、電話をきられる前に、そう言った。
 フッ、と笑う声が聞こえる。

「よしよし。待ってろよ、楽しい聖夜にしてやっから」

 そういう裕翔の低くて甘い声には、なんだか艶があって。
 それだけでも僕の体は反応しちゃうんだけど、僕はそれをどうにか我慢して「うんっ! 待ってるっ」と、電話越しに投げキッスをして電話を切った。


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