テキストサイズ

ナーバス BREAK DOWN

第2章 解逅

「16、高一だよ」

相馬の答えに道臣は苦笑した。

(まだ子供だな)

自分も同性しか好きになれないとわかったのが、中学から高校にかけての頃だった。

悩むだけで精一杯でその意味や先の事などとても考えられなかった。

なんだか他人事でない親近感に苦笑したのだ。

相馬が視線をあわせて続ける。

「真実君、彼氏がいるんだ」

道臣は驚く。

(もう相手がいるなんて)

「ずいぶんませてるな。彼氏は幾つ?」

「2コ上、同じ学校の先輩」

ここまで話して道臣は相馬の心配が自分が手を出す事でなく、真実(マサミ)の恋自体だと覚る。

同じ性癖の自分に相談しているのだ。

(嫁さんの家族も、もう相馬の家族なんだな)

家族思いの相馬らしいと笑みがこぼれた。

「へぇ、初めての彼氏同士かな?長く続くといいね」

男女の場合もそうだが、学生時代の恋人がそのままずっと続くのは稀だ。

進学や就職で環境が変わると、すれ違ったり、他に気が向いてしまったりして終わってしまう。

まして男同士なら家族や世間の目を気にしてより辛くなる。

(ひどく傷つかなきゃいいけど)

「何かあったら言って。出来るだけの事はするよ」

道臣がそういうと、相馬は小さく笑って

「ありがとう」

と微かに頭を下げた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ