ナーバス BREAK DOWN
第2章 解逅
道臣は相馬に呼び出されて個室になっている居酒屋にいた。
相馬は電話で空いている時でいいと言ったが、思い詰めたような声を聞いてその日のうちに会う事にしたのだ。
オーダーしたものが全て揃い、店員に席を離れた後、相馬がぽつりと言う。
「子供が出来たんだ」
道臣はそれを聞いて微笑んだ。
「おぉ、良かったな。おめでとう!」
手元のハイボールのグラスを掲げると、相馬もグラスを上げカチリと乾杯した。
「ありがとう」
そうは言ったものの、相馬の顔あまり嬉しそうには見えない。
しばらく二人、無言で杯を傾けていたが、とうとう道臣が耐えきれず、口を開いた。
「新婚の顔じゃないね…悩み事?僕をご指名って事は義弟君がらみだろう?」
冗談めかしてはいるが、はっきりと聞く。
相馬は微かにすら表情を変えない。
(図星。そして重症)
道臣はため息をついた。