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ナーバス BREAK DOWN

第2章 解逅

それは夏休みが明けたばかりの頃だった。

真実は帰宅しようと教室を出た。

一歩踏み出して、ギクッと体を強ばらせる。

そこに3年の塚本が廊下の壁にもたれ、腕を組んでいた。

「木田、話がある」

付いてこいと顎をしゃくる。

「僕はありません」

そう言ってできるだけ距離を開け、前を通り抜けようした。

「!」

腕を捕られ、引き寄せられる。

「俺はある」

180cmを超える塚本に上から見下ろすように凄まれて、真実は硬直した。

そのままズルズルと引きずられていく。

塚本怖さに誰も止める人もいなかった。

また塚本が真実を“姫”と呼び、執心な事は有名だったので、皆「またか」と位にしか思っていなかった。

「はっ、離せ」

骨が折れるのではないかと思う程、きつく腕を掴まれていて苦痛のあまり身をよじって抵抗する。

塚本は一瞥しただけでそのまま真実を引っ張っていく。

階段を登らされ、屋上に連れていかれるのだと気付くと真実は抵抗を強めた。

放課後の屋上は人気がない。

たまにカップルがいる位だ。

塚本がしようとしてるのが話では無い事が容易に想像できた。

「嫌だ!助けて!」

真実は怖さに屋上に出る階段の途中で、手すりに掴まりしゃがみこむ。

「チッ」

塚本は舌打ちして真実の胸ぐらを掴んで立ち上がらせると、頬を平手打ちした。

痛みとショックで呆然となった真実を抱き抱え残りを登っていった。

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