近くて遠い
第4章 決意
「失礼します……」
開けたことのない扉を開くと、
何人かの先輩がいて、
フロアとはまた違った雰囲気がそこには広がっていた。
「有川様っ遅かったのねっ!」
そう言って大きなソファーで振り返ったその顔をみて私は息を飲んだ。
「なに…あなた。何の用?」
有川様ではなく、私だということに気付いて声音を一気に変える。
この店の不動のNo.1
如月 夕夏(きさらぎ ゆうか)
が眩しいほどの輝きを放っていた。
「あ、えっと…有川様にこちらにつくように言われて…」
萎縮しながら話す私を見て夕夏さんを筆頭に周りの先輩たちが一斉に笑った。
「なに言ってるの?本当におもしろいわっハハハ」
甲高い声を出す夕夏さんはメイクが崩れないように笑い泣きで出た涙を拭った。
「あの…」
上手く話せないままドアの前に突っ立っていることしかできない。
そんな自分がひどく虚しく感じた。
「有川様が指名なんかするわけないじゃないっ。
下がりなさい。ここは新人が入れる場所じゃないわ。」
夕夏さんの脇にいた別の先輩が冷ややかに言葉を発した。
それを期にいたるところから無遠慮に飛んでくる罵声。
確かに…
接待なんかしたこともないのに、いきなりVIPルームにいる自分に、自分でも違和感を感ぜずには入られなかった。
開けたことのない扉を開くと、
何人かの先輩がいて、
フロアとはまた違った雰囲気がそこには広がっていた。
「有川様っ遅かったのねっ!」
そう言って大きなソファーで振り返ったその顔をみて私は息を飲んだ。
「なに…あなた。何の用?」
有川様ではなく、私だということに気付いて声音を一気に変える。
この店の不動のNo.1
如月 夕夏(きさらぎ ゆうか)
が眩しいほどの輝きを放っていた。
「あ、えっと…有川様にこちらにつくように言われて…」
萎縮しながら話す私を見て夕夏さんを筆頭に周りの先輩たちが一斉に笑った。
「なに言ってるの?本当におもしろいわっハハハ」
甲高い声を出す夕夏さんはメイクが崩れないように笑い泣きで出た涙を拭った。
「あの…」
上手く話せないままドアの前に突っ立っていることしかできない。
そんな自分がひどく虚しく感じた。
「有川様が指名なんかするわけないじゃないっ。
下がりなさい。ここは新人が入れる場所じゃないわ。」
夕夏さんの脇にいた別の先輩が冷ややかに言葉を発した。
それを期にいたるところから無遠慮に飛んでくる罵声。
確かに…
接待なんかしたこともないのに、いきなりVIPルームにいる自分に、自分でも違和感を感ぜずには入られなかった。