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近くて遠い

第4章 決意

「すみませんっ…」



その場にいることが辛くなった私はひとまずここから出ようと、先輩方に頭を下げて再びドアから出ようとした、が…



「あっ有川様っ…」




振り向いた途端にがチャリとドアが開いて、丁度有川様が入ってきた。




「なんだ、酒を作れと俺は言ったはずだ。」




その有川様の声で
部屋の空気が一気に凍り付いたのが分かった。




「っ……あ、有川様が、本当にその娘を…指名したんですか?」



夕夏さんの声には
さっきのようなハリが無かった。




「そうだ。」



無表情に答える有川様は、そのままソファーにドカッと座わると、未だドアの前で固まる私を強く睨み付けた。



「おいっ!」



っ…やっぱりこの人こわいっ…



「早くこっちに来て酒を作れ!!」



なんて、横暴なんだろう…


とても容姿は整っているのに、性格はやや難があるみたい。



「はい…」



私は先輩方の冷ややかな視線を感じながらも、仕方なく有川様のテーブルを挟んだ向かいに座り、グラスを持った。



どうしよう…

たくさんボトルあるけど、お酒ってどうやって作るんだろう…



『もう少ししたらお酒の入れ方教えるわね。』と幸ママが先日言ってくれたばかりで、
そもそも未成年の私には、お酒の種類すらもよく分からないで、戸惑っていた。



そんな私の様子を見てか、有川様の隣に座る夕夏さんの鼻で笑うのが聞こえた。


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