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最初で最後の恋

第20章 浄化

歩いてついた場所は、屋上。


大学の屋上なんて初めて来たけど、鍵とかかかってないんだ。


そんなことを思いながら周りを見渡す。


「蓮のこと、聞いたんでしょ?」


いきなり本題に入った彼女に、あたしは戸惑うことなく返事をした。


「うん、聞いた」


「その顔じゃあ、蓮のことを優しく受け止めたんでしょうね。わたしがいるから?とか言ったの?」


皮肉っぽく笑う彼女に、あたしは悲しみしか感じなかった。あたしの悲しみじゃない。


早苗ちゃんの、悲しみ……


「あたしには、今まで蓮が背負ってきた苦しみを取り除くことなんてできないかもしれない…


それでも、傍にいたいって思ったから」



「あたしの方が蓮のことはわかる!

たった数ヶ月一緒にいたあんたと、3年も一緒にいたあたしと一緒にしないでよ!!」


キッとあたしを睨みつける瞳。

でも、心なしか涙が溜まっているように見える。

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