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最初で最後の恋

第20章 浄化

溜まっていた涙が、一気に溢れ出た。

早苗ちゃんはその場で崩れるように泣いた。


「なんっ…で、よぉ……グズッ

あたしには…蓮しか……いないのにぃ…」


抑えきれない涙が溢れる中、蓮はゆっくりと早苗ちゃんに近づいて彼女の隣にしゃがみこんだ。

そして、そっと彼女の頭を撫でる。


「お前が俺じゃなきゃだめな理由は、俺らに共通点があったからだろ?

もし俺が普通に家族に恵まれて生きてきた男だったら、お前は俺と恋をしたか?」


蓮の質問に答えられない早苗ちゃん。

黙ったまま、下唇を噛んでいる。


「俺たちは…まるで鏡のようだったんだ。

自分と同じ姿が目の前にあって…



だから、お互いを求めた。でも。
それは間違ってるんだよ、早苗」


早苗ちゃんの手をそっと握る蓮。

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